『バル』創刊号 編集後記
* 気の迷いでまた同人雑誌をやりたくなり小出さんに相談した。よい返事だったが、まだ迷っていた。それから名古屋で清水さんに会い、チラッと話したら直ちに参加すると言われ、もう後に引けなくなってしまった。その後、この人、と選んで誘った人も皆快諾してくれ、やむなく走り出した。
* 誌名にはどんな意味もない。五十数年前に始めた同人雑誌「ゴム」も極力意味を排除した誌名だったがアンチロマンという旗印があった。今回はそれもない。
* ただ、短編重視でいきたいという考えはある。もちろん長編には長編でないとできないことがある。しかし雑誌は本来短編のものであり、内容文体手法すべてに目を配れるのは短編ならではのよさである。もう一つ、身辺雑事を無考えに書いたものは、いくら達者でも取りたくない。
* みな書き直しを重ね、時間をかけて書いた。編集も何もかも一人作業なので不備が多いだろうと思う。もしも読んでいただける方があったらどうぞご容赦ください。(知)
『バル』創刊号をご覧いただけます。
文藝同人誌『バル』
■バル同人(10号)
池川清
石岡雲
小笠原小夜子
折口想
菊川香保里
小出和美
清水良典
中野沙羅
法月八郎
藤田一盛
前田速夫
陽月
吉田知子
■準同人(10号)
勝野かおり
鈴木孝之
■発行人
吉田知子(よしだ・ともこ)
1934年 浜松生まれ
1970年「無明長夜」で第63回芥川賞を受賞
1984年「満州は知らない」第23回女流文学賞
1992年「お供え」第19回川端康成文学賞
1999年「箱の夫」第27回泉鏡花文学賞
ほか作品・著書多数。
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『バル』第8号
2021年4月発行
A5ソフトカバー・150ページ
〇 在庫あり